診療科の紹介 診療科の紹介
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診療科の紹介

診療科の紹介

リウマチ・膠原病内科 診療科部長の挨拶
リウマチ・膠原病内科
診療科部長の挨拶
主任教授
リウマチ・膠原病内科部長
中村 英樹
2021年7月より血液・腫瘍内科とリウマチ膠原病内科が分かれ、リウマチ・膠原病内科部長を拝命いたしました。私は1992年長崎大学卒業で、1999年博士号取得後、2001-2003年Brigham & Women’s Hospital, Harvard Medical Schoolへ留学いたしました。帰国後は長崎大学で、医局長・外来医長を経験し、教育・研究・診療に従事しました。特に研究面ではシェーグレン症候群(SS)の発症機構に注力し、SSとHTLV-1の関係、SS唾液腺の細胞死機構の解明、SS発症におけるtoll-like receptor7の関与について研究を進め、幾つかの新たな知見を見出しました。また診療においては関節リウマチ(RA)患者さんの地域医療連携立ち上げを行い、10年間に亘って大学病院と地域施設との連携システムを構築し継続しています。診療面において、膠原病分野は全身性エリテマトーデスのように腎や中枢神経系に免疫異常をきたす疾患やRAのように関節破壊が進行する難治性の病態が含まれます。またIgG4関連疾患のような本邦から発信された新たな疾患から家族性地中海熱のような比較的まれな周期性発熱をきたすような自己炎症疾患まで広く含みます。当科ではガイドラインに則った疾患の治療から、分子標的薬を用いた最新の治療まで広くカバーすることによって膠原病患者さんの予後改善を全面的にサポートします。また全身管理が必要なリウマチ性疾患の診療を行うことによって、広く内科的な視野を持った専門医の育成にも力を注ぎます。前任地での医療連携についてのノウハウを活かして、リウマチ性疾患の地域の先生方との連携を強化いたします。基礎研究面では当科で行ってきたEpstein-Barr (EB)ウイルスにおける関節炎発症機序について検討を進めます。特にEBウイルスによる破骨細胞の活性化誘導機構やその周辺領域の研究についても継続発展させたいと考えています。SSにおけるHTLV-1や自然免疫の関与についても解明されていない部分が多く残されており、未知の発症機序の全容解明に挑みます。EBウイルス、HTLV-1といった複数のウイルスと自己免疫疾患の基礎研究を行える施設は国内でも非常に限られており、当科の特色のひとつになると考えています。また、RAやSSなど膠原病の臨床研究も臨床データとバイオマーカー・画像検査を組み合わせることにより積極的に行い、基礎・臨床研究の両者の調和を図りたいと考えています。若手の教育・人材育成を通して臨床面および研究面にも力を注ぎたいと思いますので、これからのリウマチ・膠原病内科を宜しくお願いいたします。
血液・腫瘍内科 診療科部長の挨拶
血液・腫瘍内科 診療科部長の挨拶
教授
血液・腫瘍内科部長・科長
輸血・細胞治療センター長
八田 善弘
令和3年7月1日付で血液・腫瘍内科が発足しました。
もともとリウマチ・膠原病内科グループとともに血液膠原病内科として診療をしておりましたが、それぞれが独立することになり血液・腫瘍内科が発足しました。
血液疾患についてはクリールームをフルに稼働させ白血病やリンパ腫などに化学療法や造血細胞移植(自家または同種)を行っています。移植の認定施設として骨髄、末梢血、臍帯血などの全ての移植が可能です。また、高齢者に多い骨髄腫患者さんもたくさんご紹介いただいており大学病院としては骨髄腫の症例が多いのが特徴です。いわゆる大学病院として高度な医療を必要とする疾患をおもに扱っていますが、それ以外の貧血、出血傾向など全般に対応しております。
腫瘍内科はがん薬物療法や緩和ケアまでに精通している腫瘍内科専門医が3名在籍しており、原発不明がんや稀少がん(血管肉腫など)などの治療を行なっています。また、一般的ながんでも治療に難渋する症例もご紹介いただいています。がんが多臓器に浸潤、転移している症例や治療方針が確立していない症例を対象に定期的に多科、多職種でカンファレンスを行いより良い治療方針を提供しています。
血液・腫瘍内科は月曜〜土曜まで毎日外来医が2人診療しておりますので切れ目なく患者さんをご紹介いただけます。紹介状をご持参いただければ予約なしでも毎日、新患を受け付けております。患者さんに電話で連携予約をしていただいても結構です。
セカンドオピニオンは八田(部長)がすべてお引き受けいたします。

当科の特色

リウマチ・膠原病内科の特色

リウマチ・膠原病内科の特色

当教室では、血液疾患およびリウマチ・膠原病を専門としていますが、私達のグループはそのうちのリウマチ・膠原病疾患の診療、教育、研究に携わっています。リウマチ・膠原病疾患は臓器に偏らず、全身を診る能力が必要とされる疾患です。関連領域の最先端の知識の習得はもちろんの事、それ以外の内科をはじめとしたあらゆる疾患に対する知識が求められるため、通常の診療を通して、幅広くバランスの取れたgeneral physicianとしての高い能力を身につける事が出来ます。また、近年リウマチ・膠原病疾患の治療はめざましい進歩があり、多くの分子標的薬剤や生物学的製剤が使用出来るようになり、治療成績の飛躍的向上のため、疾患の治療概念が大きく変化してきています。これらの新規治療を積極的に行うことでの難しさがある半面、面白さも増えてきています。私達はリウマチ・膠原病の病態解明と新しい治療法の開発を研究テーマに取り組んでおり、研究の成果がさらに多くの患者さんを助けることに貢献できると信じています。
リウマチ・膠原病疾患は治ることのない病気で、患者は長期にわたる闘病生活に不安を持っています。医師は診療を通じて、原疾患の治療だけでなく精神的あるいは社会的な問題に対しても解決する能力が求められます。これらの問題の解決は簡単ではありませんが、これらを模索することで、患者との信頼関係が築け、幅広い医師に成長していくと思っています。
リウマチ・膠原病内科の特色
リウマチ・膠原病疾患は自己免疫疾患であると同時に、アレルギー疾患の一つでもあります。リウマチ専門医や免疫療法認定医の取得はもちろんですが、アレルギー専門医の取得も可能で、生物学的製剤による抗サイトカイン療法や免疫分子標的療法などの免疫療法の専門医の研修も行う事ができます。
私たちのグループは、決して大人数ではありませんが、患者の診療に真摯に向き合い、そこから生じるアンメットメディカルニーズの解決に取り組んでいます。また、その疑問から生まれたテーマに対して、臨床研究、基礎研究にも積極的に取り組んでおり、活気に満ちあふれています。医師の仕事の醍醐味は学問を臨床の場で実践することだと思っているし、それが実現出来るのが大学病院としての臨床、研究だと思っています。最先端の知識が、患者さんの眼の前で医療として実現していく、そのダイナミックに変わり続けるリウマチ・膠原病疾患の世界で多くの若い先生方と一緒に共有出来ればと思っています。(北村 登)
血液・腫瘍内科の特色

血液・腫瘍内科の特色

● 血液内科領域 ●

クリーンルーム
当院の血液内科領域の特色は、ひとことで表現するなら「あらゆる血液疾患の治療が可能な血液診療チーム」といえます。
造血器疾患には幅広い良性および悪性疾患が含まれます。私たちは特発性血小板減少性紫斑病や溶血性貧血といった良性疾患、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった悪性疾患のいずれも治療対象としており、ほぼすべての造血器疾患を網羅しています。また、移植施設として自家および同種造血幹細胞移植を実施しております。近年は半合致移植を積極的に導入しており、今まではドナーを見つけることのできなかった患者さんでも移植療法の実施が可能となりました。そのため多くの患者さんが移植療法の恩恵を受けられるようになりました。
そのように、私たちは城北地区における血液診療の中核施設として、多くの患者さんの紹介を受けております。多岐にわたる疾患の治療経験を有する施設であることは私たちの誇りであり、血液医を目指す若手医師にとっても最適な研鑽の場となっています。
また、当教室の医師はそれぞれが独自の専門性を持っているため、各疾患における診療の質が保証されています。さらに医局員が全員で議論をおこない、治療方針の統一化を図っています。そしていくつかの疾患では臨床試験や臨床研究にも取り組んでいます。
白血病に対しては特定非営利活動法人成人白血病治療共同研究機構(Japan Adult Leukemia Study Group [JALSG])の参加施設としてさまざまな最新の臨床試験をおこない、世界を牽引する新規治療の開発に取り組んでいます。悪性リンパ腫に対して強化化学療法の臨床試験や治験を実施し治療開発に貢献しております。加えて、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫において既存の患者データベースを用いてアウトカム・疾患マーカー・有害事象の調査などの分析疫学研究を実施しています。
このように日常診療を実施するだけでなく、臨床試験・臨床研究を通じて新たなエビデンスを創出し、わが国の血液診療に還元しています。
血液・腫瘍内科の特色
そして、診療においては多くの患者さんを支えられるようにさまざまな工夫を凝らしています。悪性リンパ腫および多発性骨髄腫に対しては積極的に外来で化学療法を導入しており、特に高齢者では生活の質を損なわずに続けられる化学療法を実践しています。
私たちはあらゆる疾患治療を実践していますが、互いに協力を惜しまず、学びあい、一丸となって診療や研究に取り組んでいます。2021年10月には「血液・腫瘍内科」として新たな門出を迎えましたので、より多くの患者さんに手を差し伸べ、さらなる社会貢献に寄与できるものと考えています。
血液・腫瘍内科の特色

血液・腫瘍内科の特色

● 腫瘍内科領域 ●

私たち腫瘍内科の特色をご紹介するにあたり、まず始めに私たちのビジョン(理念・展望)とミッション(使命・存在意義)をお示しします。
  • Vision
    私たちはあらゆる医学の力と可能性を駆使して全てのがん患者さんが最善の治療を受けることができるよう貢献します。
  • Mission
    私たちは臓器横断的ながん治療の総合的知識に基づきひとりひとりの患者さんに最適な診療を行う技術はもとより、患者さんの身体的、社会的、霊的苦痛に対して全人的医療を実践する能力を持った腫瘍内科医をひとりでも多く育成します。
私は2001年に現在の血液・腫瘍内科の前身である日本大学医学部旧第一内科に入門して以来、血液がんのほか一年間の肺がん診療を経験したこともあり、抗がん剤治療のスペシャリストである腫瘍内科医になりたいという憧れを持っていました。そのようながん治療の専門家はオンコロジストと呼ばれ、欧米の医療現場では多くの内科医が活躍しており社会にも広く認知されていたからです。ところが臓器別のがん診療が徹底していた当時の日本にはそうしたがん治療に関する幅広い知識を持った専門家がいなかったため、診療科をたらい回しにあってしまう「がん難民」と呼ばれる患者さんが数多くいることが社会問題になっていました。また腫瘍内科医になるためのトレーニングを受けることができる施設も国内にはほとんど無く、途方にくれる日々が続きました。
転機が訪れたのは臨床腫瘍学会が国際標準の腫瘍内科医育成を目指して専門医制度(名称:がん薬物療法専門医)を設けた2005年のことです。私は一念発起して専門医取得を目指し、各診療科でがん治療に習熟している先輩たちの指導を受けながら2010年にがん薬物療法専門医の資格を当院で初めて取得しました。以来、それまでの日本の医療環境であればがん難民となってしまっていたかもしれない患者さんたち、すなわち原発不明がん、希少がん、重複がん、骨髄転移等による化学療法実施困難例の患者さんを数多く診療し、化学療法に関する各診療科からのコンサルトや他院からのセカンドオピニオンなども多数受けてきました。2013年からは附属病院の腫瘍センター長を拝命し、看護師・薬剤師外来の導入、エビデンスに基づく支持療法の徹底、B型肝炎スクリーニングの徹底、基準逸脱症例の確認徹底、化学療法レジメン登録の厳格な審査、化学療法室利用者の抗がん剤暴露予防など、有効かつ安全ながん化学療法のため様々な取り組みを行ってきました。
血液・腫瘍内科の特色
どんな難しいがんに対しても立ち向かっていく私たちは、臓器別のがん診療が主流の日本ではちょっと変わった存在かもしれません。しかし血液内科医が固形がん患者さんの治療においてリーダシップを発揮するということは、世界中の患者さんに恩恵をもたらしている現代医学のがん化学療法がもともとは血液がんの克服から始まったという歴史上の事実から見ると、いたって自然なことなのです。そうした背景から冒頭にあげたビジョンとミッションを共有する仲間が少しずつ集まり、医師が受験する資格試験の中でもひときわ難関として知られるがん薬物療法専門医を私たちはこれまで10名輩出してきました。新専門医制度となってからこの資格は「腫瘍内科専門医」と名称変更され、内科系の重要な一領域に発展していくことが期待されています。そして私たちのこのような活動が評価され、2021年から日大板橋病院の血液内科は「血液・腫瘍内科」となって、新たな歩みを始めています。